加藤 隆郎
記事の医学監修
久留米大学 医学部 神経精神医学講座 助教 加藤 隆郎 先生
監修範囲:睡眠障害の基礎知識に関する医学的記述  /  最終監修日:2026.07.16
監修ポリシー

「夜十分に眠れない」「日中の強い眠気で仕事に集中できない」。睡眠障害によるつらい症状を抱えながら、日々の業務をこなすことに限界を感じていませんか。

仕事への影響が深刻になるにつれて、「休職」という選択肢が頭をよぎる方も少なくないはずです。

しかし、いざ休職を考え始めると、「本当に休めるのか」「診断書はどうやって取るのか」「休んでいる間の生活費はどうなるのか」といった、次から次へと疑問や不安が湧き出てくるものです。

この記事では、睡眠障害で休職を検討しているあなたが知りたい情報を網羅的に解説します。休職の判断基準から、診断書の取得、会社での手続き、休職中の経済的な支援、そして回復後の復職まで、具体的なステップを一つひとつ丁寧に説明していきます。

一人で抱え込まず、正しい情報を得て適切な対応をとること。それが、心と体を回復させ、健やかな毎日を取り戻すための第一歩です。

この記事の要点
  • 睡眠障害で休職するには、心療内科や精神科などの主治医が作成した診断書を会社に提出することが出発点になります。
  • 傷病手当金は、業務外の傷病により連続する3日間を含めて4日以上働けない場合に、支給開始日から通算して1年6か月まで支給されます。
  • 傷病手当金の支給額は、1日につき支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2が目安です。
  • 睡眠障害の発症が業務に起因すると認められた場合は、労災保険の休業(補償)等給付の対象となり、給付基礎日額の80%(給付60%+休業特別支給金20%)が休業4日目以降に支給されます。
  • 生活習慣や睡眠環境を見直しても睡眠の不調や日中の眠気が続き、生活に支障が出ている場合は、速やかに医師に相談してください。

睡眠障害が仕事に与える影響と休職を検討すべきサイン

睡眠障害は、単に「眠れない」という問題だけにとどまりません。日中の活動に深刻な影響を及ぼし、仕事のパフォーマンスを著しく低下させる可能性があります(参考:厚生労働省 1)。

集中力やパフォーマンス低下など、睡眠障害の具体的な影響

睡眠が不足すると、脳の機能が十分に回復しません。睡眠不足は、日中の眠気や疲労に加え、注意力や判断力の低下に関連する作業効率の低下など、多岐にわたる影響を及ぼすことが報告されています(参考:厚生労働省 1)。

その結果、業務中に以下のような問題が生じやすくなります。

  • 注意散漫になり、ケアレスミスが増える
  • 新しい情報を覚えたり、複雑な判断を下したりすることが難しくなる
  • 会議中に強い眠気に襲われる
  • 作業効率が落ち、時間内に仕事が終わらない
  • イライラしやすくなり、同僚とのコミュニケーションに支障が出る

短時間の断眠が認知機能に及ぼす影響を検討したメタアナリシスでは、持続的な注意を要する課題での成績低下が最も大きいことが示されています(参考:Lim ら 2010, 2)。

注意

これらの影響は個人の問題だけでなく、チーム全体の生産性や職場の安全性にも関わる重大な事態につながることもあります。27件の観察研究(約26万8千人)を統合したメタアナリシスでは、睡眠の問題がある労働者は、ない労働者と比べて労働災害に遭うリスクが1.62倍(95%信頼区間1.43〜1.84)であり、労働災害の約13%が睡眠の問題に起因すると推計されています(参考:Uehli ら 2014, 3)。

「休職するべきか」迷う時に確認したい判断基準

休職は大きな決断です。しかし、心身が限界を迎える前に、立ち止まって休息をとることは、長期的なキャリアを守るためにも重要です。

もし以下のサインに当てはまる場合は、休職を真剣に検討する時期かもしれません。

01

身体的・精神的な疲労が限界に達しているサイン

朝起きるのが非常につらく、出勤する気力が湧かない。休日に十分休んでも疲労感がまったく取れない状態が続くのは、危険なサインです。また、常に不安感や焦燥感に駆られたり、何事にも興味が持てなくなったりするなど、精神的な不調が顕著な場合も注意が必要です。生活習慣や睡眠環境を見直しても睡眠の不調や睡眠休養感の低下が続く場合は、背景に睡眠障害が潜んでいる可能性があり、医師への相談が推奨されています(参考:厚生労働省 1)。

02

業務上のミスや安全性の問題が増加している場合

これまでなら考えられなかったようなミスを繰り返したり、仕事の指示を忘れてしまったりすることが増えていませんか。特に、機械の操作や自動車の運転など、一瞬の気の緩みが大きな事故につながる業務に従事している場合、安全確保の観点から休職の必要性が高まります(参考:Uehli ら 2014, 3)。

そもそも休職制度とは?その目的と種類を理解する

POINT

休職とは、労働者が自己都合(傷病など)により長期間会社を休む際に、会社が労働契約を維持したまま、労働の義務を免除する制度です。法律で定められた義務ではなく、企業の就業規則などに基づいて運用されています(参考:厚生労働省 4)。

その主な目的は、労働者が安心して療養に専念し、回復後に再び職場で活躍できるようにすることです(参考:厚生労働省 4)。

休職の区分や名称は法令で統一されておらず、企業の就業規則によって異なりますが、病気や怪我による「傷病休職」のほか、自己都合での留学やボランティア活動を目的とした「自己都合休職」などを定めている企業もあります。睡眠障害を理由に療養のため休む場合は、一般に傷病休職の枠組みで扱われます。

睡眠障害による休職までの具体的な流れと手順

実際に休職を決意した場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。一般的に、受診から会社への手続きまで、3つのステップで進めていきます。

ステップ1:心療内科や精神科を受診し診断書を依頼する

休職を申請するためには、多くの場合、医師による「休職が必要である」という診断書が不可欠です。厚生労働省の手引きでも、病気休業の開始にあたっては、主治医によって作成された診断書を労働者から提出してもらうこととされています(参考:厚生労働省 4)。

まずは、心療内科や精神科といった専門の医療機関を受診しましょう。なお、大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されているなど、閉塞性睡眠時無呼吸が疑われる場合は、睡眠を専門とする医療機関で検査を受けることが勧められています(参考:厚生労働省 1)。

診断書は即日発行してもらえるのか?

注意

診断書の即日発行は、必ずしも可能ではありません。医師は患者の症状や状態を慎重に判断する必要があるためです。初診でこれまでの経緯を詳しく話した結果、その日のうちに発行されるケースもあれば、何回か通院して経過を観察した上で発行されるケースもあり、発行の時期は医師の判断によります。焦らず、まずは医師の診察を受けることが先決です。

オンライン診療で診断書を発行できるケース

オンライン診療で相談し、診断書を発行してもらえる医療機関もあります。心身の不調で外出が難しい場合や、近所に適切な医療機関がない場合に有効な選択肢となります。

ただし、対面診療を原則とする医師もおり、症状によってはオンラインでの診断が難しい場合もあります。事前にクリニックのウェブサイトなどで対応可否を確認しておくとよいでしょう。

医師に症状を正確に伝えるためのポイント

診察時間は限られています。医師に的確な判断をしてもらうために、事前に伝えるべき情報を整理しておきましょう。

  • いつから、どのような睡眠の悩みがあるか(寝付けない、途中で目が覚める、など)
  • 日中の眠気やだるさ、集中力の低下など、仕事や生活にどのような支障が出ているか
  • 仕事のストレスなど、不調の原因として思い当たること
  • これまでに試した対処法とその効果

これらの内容をメモにまとめて持参すると、落ち着いて説明できます。

ステップ2:会社に休職の意向を伝える際の注意点

診断書を取得したら、次に会社へ休職の意向を伝えます。円滑に手続きを進めるために、報告の仕方には配慮が必要です。

誰に、いつ、どのように報告すべきか

最初に相談する相手は、直属の上司が一般的です。厚生労働省の手引きでも、管理監督者が病気休業診断書の提出を受け、人事労務管理スタッフ及び事業場内産業保健スタッフに連絡する流れが示されています(参考:厚生労働省 4)。その後、上司の指示に従い、人事部や労務担当者と具体的な手続きを進める流れになります。

報告のタイミングは、診断書を受け取った後、できるだけ速やかに行うのが望ましいです。突然の報告は業務の引き継ぎなどで混乱を招くため、まずは上司にアポイントを取り、個別に相談する時間を設けてもらいましょう。

休職理由の伝え方とスムーズな交渉術

休職理由を伝える際は、感情的にならず、客観的な事実を淡々と話すことが大切です。「睡眠障害により業務の継続が困難な状況であり、医師から一定期間の療養が必要との診断を受けました」というように、診断書の内容に基づいて説明します。

業務の引き継ぎについても、可能な範囲で協力する姿勢を見せることで、周囲の理解を得やすくなります。

ステップ3:休職に必要な書類の準備と提出手続き

上司や人事部との相談後、正式な休職手続きに入ります。会社所定の「休職願(届)」に必要事項を記入し、医師から受け取った診断書を添えて提出するのが一般的な流れです。提出先や期限については、必ず人事・労務担当者に確認してください。

休職中の経済的な不安を和らげる支援制度

休職中の大きな不安の一つが、収入が途絶えることによる経済的な問題です。幸い、日本の社会保障制度には、療養中の生活を支えるための仕組みが用意されています。

傷病手当金とは?支給条件と申請方法を詳しく解説

傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気や怪我のために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です(参考:厚生労働省 5)。業務外の事由による傷病であれば疾患の種類は問われないため、睡眠障害や、うつ病・適応障害などの精神疾患も対象となります(参考:厚生労働省 5)。

支給を受けるためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります(参考:厚生労働省 5)。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  • 仕事に就くことができないこと(労務不能)
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと(待期期間の完成)
  • 休業した期間について給与の支払いがないこと(給与が支払われても傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給)

支給期間と受け取れる金額の目安

支給の仕組み

傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です(参考:厚生労働省 6)。令和4年1月1日の改正により、支給期間中に途中で就労するなど傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給されます(参考:厚生労働省 6)。

支給額の目安は、おおよそ給与の3分の2に相当する額となります。正確には、1日につき、支給開始日以前の継続した12か月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2が支給されます(参考:厚生労働省 5)。

申請のタイミングと必要書類

申請は、給与の締め日ごとなど、1か月単位で行うのが一般的です。申請には、全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健康保険組合が用意する「傷病手当金支給申請書」が必要です。

この申請書には、自分で記入する欄のほかに、事業主と医師がそれぞれ証明する欄があるため、関係各所に記入を依頼し、健康保険の窓口に提出します。様式や提出方法は加入している健康保険によって異なるため、勤務先の担当者や保険者に確認してください。

業務が原因の場合に検討する労災保険の休業補償給付

もし、睡眠障害の発症が長時間労働や職場の強いストレスといった業務に起因するものであると認められた場合は、健康保険の傷病手当金ではなく、労働者災害補償保険(労災保険)の対象となる可能性があります。

労災を検討する場合の注意

労災保険の休業(補償)等給付は、傷病手当金よりも手厚い補償(給付基礎日額の約8割)が受けられます。内訳は、休業(補償)等給付が給付基礎日額の60%、休業特別支給金が20%で、休業第4日目以降が支給の対象です(参考:厚生労働省 7)。

ただし、業務との因果関係について、労働基準監督署による認定を受ける必要があります。判断に迷う場合は、会社の担当者や労働基準監督署に相談してみましょう。

休職中の生活費に関するその他の支援策

企業の福利厚生として、独自の傷病見舞金制度や団体長期障害所得補償保険(GLTD)を導入している場合があります。

また、民間の医療保険や所得補償保険に加入していれば、そこから給付金を受け取れる可能性もあります。一度、ご自身の会社の制度や加入している保険の内容を確認してみてください。

睡眠障害による休職期間の目安と回復のための過ごし方

無事に休職に入ったら、次は心身の回復に専念することが最も重要です。焦らず、効果的な療養期間を過ごしましょう。

一般的な休職期間はどのくらい?延長の可能性は

POINT

診断書に記載される休職期間に一律の目安はなく、必要な療養期間の見込みは、症状の重さなどを踏まえて主治医が個々の状態に応じて判断します(参考:厚生労働省 4)。この期間で十分に回復しない場合は、再度医師の診察を受け、診断書を更新してもらうことで休職期間を延長できることがあります。

最終的な休職期間の上限は、会社の就業規則で定められた私傷病による休業の最長(保障)期間までとなるのが一般的で、その長さは企業によって異なります(参考:厚生労働省 4)。

休職中に避けるべき行動と注意点

療養期間を有意義なものにするためには、避けるべき行動があります。特に注意したいのは、不規則な生活です。

昼夜逆転の生活を送ったり、夜更かしを続けたりすると、体内時計の遅れや乱れが生じ、主観的な睡眠の質の低下を招くことが報告されています(参考:厚生労働省 1)。

また、焦りから資格の勉強を始めたり、転職活動を行ったりすることも、心身への負担となる場合があるため、進めるかどうかは主治医と相談しながら判断しましょう。

心身の回復を促す効果的な過ごし方とセルフケアの重要性

休職期間は、治療と休息に集中するための貴重な時間です。医師の指示に従い、処方された薬を正しく服用することはもちろん、セルフケアにも取り組みましょう。

次に挙げる項目は、いずれも厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」で推奨されている内容に沿ったものです(参考:厚生労働省 1)。

  • 毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝ることを心がけ、生活リズムを整える。
  • 朝起きたら太陽の光を浴び、体内時計をリセットする。
  • 日中は、散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす。
  • バランスの取れた食事を3食きちんと摂る。
  • 寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える。

すぐに効果が出なくても、根気強く続けることが回復への近道です。

復職へのステップとキャリア・雇用への影響

休職期間を経て症状が安定してきたら、次のステップとして復職を視野に入れていきます。ここでも不安はつきものですが、計画的に進めることが大切です。

職場復帰に向けたリハビリ出勤やリワーク支援

復職を焦らないために

いきなり休職前と同じようにフルタイムで働くのは、心身への負担が大きく、症状の再発につながりかねません。厚生労働省の手引きでも、数か月にわたって休業していた労働者に、いきなり発病前と同じ質・量の仕事を期待することには無理があるとされ、職場復帰後の労働負荷を軽減し、段階的に元へ戻す配慮が重要とされています(参考:厚生労働省 4)。

企業によっては、正式な職場復帰の決定前に「試し出勤制度」(模擬出勤・通勤訓練・試し出勤。リハビリ出勤、ならし出勤とも呼ばれます)を設けている場合があります。また、復職後の就業上の配慮として、短時間勤務や軽作業から始め、段階的に元へ戻す方法もあります(参考:厚生労働省 4)。

また、医療機関や地域障害者職業センターなどが提供する「リワーク支援プログラム」を利用するのも有効です(参考:厚生労働省 4)。手引きで例示されている模擬出勤では、デイケア等で模擬的な軽作業やグループミーティング等を行い、職場復帰の準備を進めます。

ただし、これらの機関が提供するサービスの内容や目標は多様であるため、利用にあたっては主治医や産業医と相談しながら選ぶことが大切です(参考:厚生労働省 4)。

休職が雇用継続やキャリア形成に与える影響

休職という経歴が、今後のキャリアにどう影響するのかは、多くの方が心配する点でしょう。

休職による解雇リスクは?法的な保護と会社の対応

傷病休職を理由に、会社が従業員を即座に解雇することは、労働契約法第16条により「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、その権利を濫用したものとして無効とされており、法的に厳しく制限されています(参考:労働契約法 8)。休職期間が満了しても復職できない場合に「自然退職」や「解雇」となる規定が就業規則にあるのが一般的です(参考:厚生労働省 4)。

もっとも、私傷病による休職期間中の解雇が法律で一律に禁止されているわけではなく、解雇が有効かどうかは個別の事情に応じて判断されます。なお、業務上の負傷・疾病の療養のために休業する期間とその後30日間については、労働基準法第19条により原則として解雇が制限されています(参考:厚生労働省 9)。

転職を視野に入れる場合の考慮点

休職を機に、現在の働き方や職場環境を見直し、転職を考える方もいます。その際は、休職の事実を隠すのではなく、回復していることや再発防止のために取り組んでいることを前向きに伝えることが重要です。

健康な状態で新たなスタートを切るためにも、まずは現在の職場で復職を目指し、体調を安定させることが望ましい選択です。

睡眠障害と適応障害など、他の精神疾患との関連性

睡眠障害は、それ単独で生じることもありますが、うつ病や不安症をはじめとした様々な精神疾患の初期症状、もしくは併存症として現れることが多いと報告されています(参考:厚生労働省 1)。

関係は一方向ではありません。21件の縦断研究を統合したメタアナリシスでは、不眠のある人はない人と比べて将来うつ病を発症するリスクが約2倍(オッズ比2.10、95%信頼区間1.86〜2.38)と報告されており、双方向の関連が指摘されています(参考:Baglioni ら 2011, 10)。

特に、職場のストレスと不眠症状は互いに影響し合うことがスウェーデンの前向き研究で示されており(参考:Garefelt ら 2020, 11)、職場のストレスを契機に発症する適応障害でも、不安や不眠が対症的な薬物療法の対象となることがあります(参考:Casey 2009, 12)。

根本的な原因がどこにあるのかを主治医とよく相談し、適切な治療を受けることが、回復につながります。

まとめ

睡眠障害を抱えながら仕事を続けることは、心身ともに大きな負担を伴います。休職は、決して「逃げ」ではなく、健康を取り戻し、これからも長く働き続けるために必要な「戦略的休養」です。

この記事で解説した、休職の判断基準から診断書の取得、会社での手続き、傷病手当金といった経済的支援、そして復職までの流れを理解することで、漠然とした不安は具体的な行動計画へと変わるはずです。

最も大切なことは、一人で悩み続けないことです。まずは専門の医療機関に相談し、そして会社の上司や人事担当者と連携を取りながら、回復への道を一歩ずつ着実に進んでいきましょう。あなたの心と体が十分に休息を取り戻し、再び健やかな日々を送れることを願っています。

FAQ(よくある質問)

不眠症で休職したいのですが、どうすればいいですか?

まずは心療内科や精神科を受診し、医師に相談してください。休職が必要と判断されれば、診断書が発行されます。

その診断書を会社に提出し、就業規則に従って休職手続きを進めるのが一般的な流れです(参考:厚生労働省 4)。

休職したほうがいいサインはありますか?

朝起きるのが非常につらい、集中力が続かずミスが増えた、常に疲労感や不安感がある、といった状態が続く場合は、休職を検討すべきサインです。仕事の安全に関わる問題が生じている場合も、早急な対応が求められます。

生活習慣や睡眠環境を見直しても症状が続き、日常生活に支障を来している場合は、速やかに医師に相談することが推奨されています(参考:厚生労働省 1)。

適応障害で休職すると不眠症になることはありますか?

その逆で、適応障害の症状の一つとして不眠(睡眠障害)が現れることがあります。職場のストレスなどが原因で適応障害になると、不安や緊張から寝付けなくなったり、夜中に目が覚めたりするなどの症状が出やすくなります。

適応障害の治療では、不安や不眠に対する対症的な薬物療法が行われることがあります(参考:Casey 2009, 12)。

休職したら会社をクビになりますか?

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とされます(参考:労働契約法 8)。通常は、会社の就業規則で定められた休職期間が満了しても復職できない場合に、自然退職または解雇という扱いになります(参考:厚生労働省 4)。

ただし、休職期間中の解雇が法律で一律に禁止されているわけではなく、有効かどうかは個別の事情に応じて判断されます。

睡眠障害の診断書はどこでもらえますか?

心療内科や精神科のクリニック・病院で発行してもらえます。まずは受診し、医師に現在の症状や仕事への支障について詳しく相談することが必要です。

なお、日中の眠気が強い場合や大きないびきがある場合は閉塞性睡眠時無呼吸が疑われることがあり、睡眠を専門とする医療機関での検査が勧められています(参考:厚生労働省 1)。

睡眠障害で休職中の過ごし方で注意すべきことは何ですか?

昼夜逆転など不規則な生活を避け、毎日決まった時間に起床・就寝することを心がけるのが最も重要です(参考:厚生労働省 1)。

また、回復を焦って無理に活動しようとせず、医師の指示に従い、心身を休めることに専念してください。

参考資料・文献一覧
  1. 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会『健康づくりのための睡眠ガイド2023』令和6年2月 https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
  2. Lim J, Dinges DF. A meta-analysis of the impact of short-term sleep deprivation on cognitive variables. Psychol Bull. 2010; 136(3): 375-389. https://doi.org/10.1037/a0018883
  3. Uehli K, Mehta AJ, Miedinger D, et al. Sleep problems and work injuries: a systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2014; 18(1): 61-73. https://doi.org/10.1016/j.smrv.2013.01.004
  4. 厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』平成16年10月(改訂 平成24年7月) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00005.html
  5. 厚生労働省『傷病手当金について』第132回社会保障審議会医療保険部会 資料1-3、令和2年10月28日 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000688661.pdf
  6. 厚生労働省『令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます』 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22308.html
  7. 厚生労働省『3-5 休業(補償)等給付の計算方法を教えてください。』労災保険に関するQ&A https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154476.html
  8. 労働契約法(平成19年法律第128号)第16条(厚生労働省 法令等データベースサービス) https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73aa9536
  9. 厚生労働省 兵庫労働局『解雇・退職』(労働基準法第19条 解雇制限) https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/kaiko_taishoku.html
  10. Baglioni C, Battagliese G, Feige B, et al. Insomnia as a predictor of depression: a meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. J Affect Disord. 2011; 135(1-3): 10-19. https://doi.org/10.1016/j.jad.2011.01.011
  11. Garefelt J, Platts LG, Hyde M, et al. Reciprocal relations between work stress and insomnia symptoms: A prospective study. J Sleep Res. 2020; 29(2): e12949. https://doi.org/10.1111/jsr.12949
  12. Casey P. Adjustment disorder: epidemiology, diagnosis and treatment. CNS Drugs. 2009; 23(11): 927-938. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19845414/

RELATED ARTICLES 睡眠障害の基礎知識の関連記事

スマホと睡眠障害の関係|寝る前のスマホが眠りに与える影響と対策

スマホと睡眠障害の関係|寝る前のスマホが眠りに与える影響と対策

2026.07.16

睡眠障害とは?症状・原因・種類から対策、受診の目安まで徹底解説

睡眠障害とは?症状・原因・種類から対策、受診の目安まで徹底解説

2026.05.26

睡眠障害は何科を受診?症状・原因別に最適な診療科と受診のタイミングを解説

睡眠障害は何科を受診?症状・原因別に最適な診療科と受診のタイミングを解説

2026.02.17

睡眠障害?セルフチェックで原因とタイプを特定!改善への第一歩

睡眠障害?セルフチェックで原因とタイプを特定!改善への第一歩

2026.02.17